オーストラリア東部のニューサウスウェールズ(NSW)州政府は6月16日、大阪・関西万博オーストラリアパビリオン内で、同州えりすぐりの飲食品を試食してもらうイベント「NSWフード&ビバレッジ・ショーケース」を開催。訪れた約120人が、その魅力を味わった。
NSW州は、オーストラリアで最大の人口を擁し、気候が温暖で多彩な作物が収穫できることから、高品質な農産物や食品が多く生産される。「つながる味、広がる未来」をテーマにしたイベントには、NSWゆかりの水産物、精肉、菓子、酒類、ハーブなど10社余りのブランドが参加。生産地の映像を交えたプレゼンテーションに続き、体験試食会が行われた。
ジャックス・クリークの食肉を紹介するコーナー。会場にはオーストラリア政府観光局のブランドアンバサダーであるコアラのココちゃんも訪れて盛り上げた食肉生産メーカー「Jack’s Creek(ジャックス・クリーク)」は焼きたてのミニステーキを用意。同社は、世界最高峰のステーキを決める「ワールド・ステーキ・チャレンジ」で2023年から2年連続世界一に輝く。肉のうまみがありながら脂がさっぱりしているのが特徴といい、飲食業者らが舌鼓を打った。
「レモンより強いレモンの香り」といわれる芳香で人気を呼んだのは、NSW原産のハーブ「レモンマートル」を活用した食品。精油や茶などが知られるが、日本のカネカは筋肉を維持するための運動をサポートする成分を生かした健康食品を紹介した。担当者は、「長く現地で健康に着目されてきたハーブを日本でも広く知ってほしい」と話す。
レモンマートルを使った健康食品やお茶、せっけん、精油などが紹介されたオーストラリア原産の淡水魚マレーコッドを生食、グリルで提供した「Aquna(アクナ)」は、環境に配慮した養殖手法が欧米やシンガポールなどで評価を得ている。日本での販売を担うメイプルフーズ(東京)の幹部は「絹のような脂肪の質感が魅力。知名度をアップしたい」と語った。
酒類では、ワイン通に有名なハンターヴァレーなどのワインのほか、ノンアルコールや微アルコールに特化した健康志向のクラフトビール「Heaps Normal(ヒープス・ノーマル)」が出展。オーストラリア人で知らない人はいないといわれる国民的チョコレート菓子「ティムタム」のArnott’s(アーノッツ)なども商品をアピールした。
貿易・投資局のデイビッド・ローソン日本担当コミッショナーによると、NSW州はオーストラリア最大のコメ産地。約100年前に日本の四国地方から伝わったジャポニカ米も栽培されているといい、日本とは知られざる歴史的なつながりもある。
今回のイベントに出展したブランドは、大半が日本市場で流通しており、さらなる販路拡大を目指している。デイビッド・ローソン日本担当コミッショナーは、「ぜひ、多くの日本人にオーストラリアに来てもらい、食材のおいしさを感じてもらいたい。そして、その味を(帰国後に)近所のスーパーでも手にとっていただけるようにしていきたい」と話した。
イベントで挨拶するNSW州のデイビッド日本担当コミッショナー