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【高知の知恵と技を再発見】(1) カツオの味を保証する!? 高知県中土佐町久礼・漁師町の知恵

2025.06.12 15:09
久礼・大正町市場で食べられる生の初カツオ

■カツオの商品価値を高める

 「うまいカツオが食べられる」と、高知県民もわざわざ訪れる“カツオの聖地”がある。高知市内から車でおよそ1時間。中土佐町・久礼は、400年以上前から続くカツオの一本釣り、日戻り漁、カツオ専門の競りなど、まさにカツオとともに歩んできた町だ。

 久礼・大正町市場は小さな商店街ながら、生カツオを求める観光客でにぎわう。この町を名所に押し上げた立役者が、市場で鮮魚店を営む田中隆博さんだ。「商売人が安く仕入れて高く売ると、一次産業の人たちが割りを食う。漁師の友達たちが苦労していて、僕たち商売人だけが儲かるというシステムは長くは続かないと思った」。漁師からできるだけ高く買い取り、自らが商品価値を高めて販売する仕組みを考えた。

 鍵となったのは、「おいしいカツオを保証する」こと。どんなに新鮮でも、約15%は「ゴシ」と呼ばれる生食に適さない味のものが混在する。カツオが安価なのは、この当たり外れが大きいからだ。そこで田中さんは、身を割り、うまいカツオを選別して販売することにした。選別技術は、カツオの味にうるさい町民に鍛えられた。こうした活動が評価され、昨年、農林水産省「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」アワードを受賞した。

 カツオを軸にしたまちづくりを進めるために立ち上がったのが、「シン・鰹乃國(かつおのくに)プロジェクト」だ。事務局長の久竹庸代さんは力を込める。「この町には、釣るプロ・売るプロ・食べるプロの三拍子がそろっている。地域の小中学生対象に“英才カツオ教育”などを施し、今後もカツオにうるさい人たちをつくり続けていく」

 持続可能な「NO KATSUO NO LIFE(ノーカツオ・ノーライフ)」な町にすることが、生き残りをかけた漁師町の知恵だ。

田中鮮魚店の田中隆博さん

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