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曽田陵介、秋田汐梨「平和や幸せについて考えたり、歴史について知りたいと思うきっかけになったらいいと思います」『惑星ラブソング』【インタビュー】

2025.06.12 16:55

 広島を訪れた謎のアメリカ人観光客と地元の若者たちが出会い、過去と現在が交錯していく様子を描いた、時川英之監督による愛と平和のファンタジー『惑星ラブソング』が6月13日から全国公開される。本作で、主人公のモッチを演じた曽田陵介と、ヒロインのアヤカを演じた秋田汐梨に話を聞いた。

(左から)曽田陵介【ヘア&メーク:中原ありさ(is)/スタイリスト:岡村春輝(FJYM inc.)】、秋田汐梨【ヘア&メーク:菅長ふみ/スタイリスト:髙橋美咲(Sadalsuud)】 (C)エンタメOVO −最初に脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか。

曽田 平和がテーマなので、脚本を読む前は結構重い話なのかと思いましたが、意外とライトに描かれていて、しかもファンタジーが織り交ぜられていたので、映画として面白く見ていただけると思いました。

秋田 ファンタジーと歴史と恋愛の要素が、とてもバランスよく構成されていると思いました。平和についての話なのに、重くなり過ぎず読み進めていける脚本だと思いました。でも、読み終わったあとには未来について考えさせられることも多くて…すてきな脚本だと思いました。

−実際に演じてみてどう思いましたか。また演じる上で気を付けたことや心掛けたことはありましたか。

曽田 自分が広島にいた時は平和についてあまり考えたことはなかったんですけど、この映画を通して、下調べとして平和資料館に行ってみたりして、平和について考えるようになりました。原爆ドームのように、広島にはまだ戦中の建物が残っていたりするので、それがよく目に入るようになって、興味が出てきました。モッチは、平和には興味がないというふうに映りますが、実はそうではない。そのあたりが雑に見えないように、ワンシーン、ワンシーンを丁寧に演じていこうと思いました。

秋田 今回この役を演じるとなってから原爆について深く知りたいと思うようになって。これまでは学校の授業で学んだ程度しか知らなかったんだなと痛感しましたし、ちゃんと歴史について知ろうと思うきっかけになりました。アヤカには将来の目標があって、それに向かって突き進んでいるように見えますが、人には見せないだけで実際は不安もあるだろうし、1人になったら悩んでいるんじゃないかなと考えながら、ちゃんと人間味が出るようなキャラクターにしたいと思って演じました。

−お互いの演技を見て、どんな感じでしたか。

曽田 脚本を読んだ時に僕が思い描いたアヤカを、イメージ通りに演じられていると思いました。撮影前に読み合わせをした時から本当にやりやすくて。モッチを追い切れたのは、アヤカがいてくれたおかげだったと思います。

秋田 モッチの性格と曽田さんご本人の性格が全然違うので、スイッチの切り替えみたいなのものが見えて、すごいなと思いました。普段は本当に明るい方なので、モッチの落ち着いた感じをどういうふうに出すのかなと思いましたが、本当に自然で、いろいろと勉強になりました。

−スイッチが入るというのは?

秋田 本当に急にです。「はい」と言われた瞬間に。その気持ちになるための時間をくださいとか、役作りの時間とかないじゃないですか。だから急にスイッチが入る感じ。本番が始まる直前まで大声で笑っていたりするので…(笑)。本当にすごいなと。

−曽田さんは、広島に住んでいたんですよね。

曽田 出身は島根で広島には大学時代に4年間住んでいました。でも、佐伯の方だったのであまり市内には行っていなかったんです。だから市内に1カ月もいたのは今回が初めてでした。もちろん見たことのない景色もありましたし、サンフレッチェ広島のスタジアムとか新しくできた所もあって、そこが映像に残るのはいいなと思いました。新しい発見があって面白かったです。

−広島弁には苦労しましたか。

曽田 耳に入った言葉をせりふに落としていくという作業でしたが、僕は4年間広島にいて聞き慣れた言葉だったので、それほど大変ではありませんでした。

秋田 方言指導の方がいなかったので、(時川英之)監督が話した言葉の録音を聞いて、こういうイントネーションなんだなと思って、そのまま発したら何となくできちゃいました(笑)。私も関西出身なので、東京よりは広島寄りだし、関西弁と似たイントネーションがたくさんあったので、すんなり入ってきた感じはしましたね。

−英語のせりふもありましたが、英語はいかがでした。

秋田 英語は超大変でした。私は英語が話せないので、英語をしゃべりながらだと、何を言っているか、言葉の意味が全然分からなくて…。頭の中で日本語に置き換えて、感情を整理しながらやりましたが、すごく難しかったです。

−この映画にはファンタジーやSFの要素も入っていますね。

曽田 今までにない感じはしました。僕自身ファンタジーをやるのは初めてだったので想像の中のものをお芝居として表現しなければならず、これはどういう絵になるんだろうと模索しながらやったので難しかったです。完成作を見て初めてこういうものが出てくるのかと分かりました。

−時川監督の演出で何か印象に残ったことはありましたか。

曽田 カメラワークは、撮影のアイバン(・コバック)さんが、監督とディスカッションしながら自由にやられていて。カメラを固定せずに手持ちで撮られていたので、それで表現できるものもあるのかと思ったのが印象的でした。あとは、海外のスタッフの方が多くて、皆英語でしゃべっているので何を言っているのか分からないのが大変でした。

秋田 監督は「自由にどうぞ」というスタンスだったような気がします。何をやっても面白いと言って受けとめてくださる方だと思うので、結構自由にやっていました。あとは、ロケーションも含めて、とても画を大切にされる方だと思いました。だから広島の雰囲気が直接伝わってくるような魅力的な作品になっていると思います。

−完成作を見てどんな印象でしたか。

曽田 僕が出てこないシーンもあるので、こうなるのかなと頭の中だけで考えたことが実際に映像として現れてきたので、すごく納得できたというか、そうだったのかとふに落ちたところがありました。

秋田 CGが加わっていろいろな描写の壮大さが増したと思います。過去から未来につながっていく架け橋になる作品なんじゃないかなと思いました。

−最後に、これから見る方や読者に向けて一言お願いします。

曽田 広島の雰囲気がすごく出ているし、広島の方が映っているシーンもたくさんあるので、広島ってこういう街なんだというのを純粋に楽しんでもらいたいと。その上で、平和というテーマを肩肘張らずにライトな気分で見て、それを持ち帰って、考えていただけるきっかけになればうれしいと思います。

秋田 例えば、出演者の誰かを見たいと来てくださってもいいですし、ファンタジーが見たいとか、広島の出身だからとか、入り口は何でもいいと思います。見てくださった方が見終わった後に立ち止まって考える時間を持ちたくなるような映画だと思うので、平和や幸せについて考えたり、歴史について知りたいと思うきっかけになったらうれしいなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)「惑星ラブソング」製作委員会

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